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カペシタビンの処方から治療背景を考える

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このページでは、処方受付時の用量監査と患者確認に必要な情報を中心に掲載しています。治療背景や投薬後フォローを詳しく確認したい場合は、以下のページをご覧ください。

がん種・治療背景から確認する

胃癌でカペシタビンが使用される主な場面を見る

胃癌においてカペシタビンは、主にオキサリプラチンとの併用療法であるCAPOX療法として使用されます。
胃癌では「カペシタビン単独療法」よりも、CAPOX療法の一部として処方されている可能性を考えることが重要です。

使用場面主なレジメン薬局での見え方処方背景として考えたいこと
術後補助化学療法CAPOX療法カペシタビンが周期的に処方され、病院でオキサリプラチン点滴を受けている胃切除後、再発予防目的で行われている可能性
pStage III術後CAPOX療法など「術後」「リンパ節転移あり」「半年程度の治療予定」などの情報が得られることがあるS-1単独ではなく併用療法が選択されている可能性
切除不能・進行再発胃癌CAPOX療法を含むフッ化ピリミジン+白金製剤ベースの治療カペシタビンに加えて、点滴治療歴や制吐薬、末梢神経障害対策薬などがみられることがある病勢制御目的の全身化学療法として使用されている可能性
カペシタビン単独に見える場合併用療法からの変更、点滴薬中止後の継続など処方箋上はカペシタビンのみ確認されるオキサリプラチンの末梢神経障害などで点滴薬が中止され、内服のみ継続している可能性もある

胃癌でカペシタビンが処方されている場合、まず確認したいのは、病院でオキサリプラチンの点滴を受けているかどうかです。
オキサリプラチンの点滴と組み合わされている場合は、CAPOX療法として、術後補助化学療法または進行・再発胃癌に対する治療で使用されている可能性があります。

一方で、カペシタビン単独の処方だけでは、胃癌の治療背景を断定することは難しく、乳癌や大腸癌など他のがん種で使用されている可能性もあります。
そのため、薬局では「何のがんで使用しているか」を直接確認するというよりも、患者さんの話の中から、手術歴、点滴治療の有無、治療予定期間、末梢神経障害の有無などを確認すると、治療背景を推測しやすくなります。

特に胃癌の周術期では、カペシタビンは単独療法というより、CAPOX療法として使用される薬剤と考えると整理しやすいです。

乳癌でカペシタビンが使用される主な場面を見る

乳癌においてカペシタビンは、主に手術不能又は再発乳癌に対して使用される内服抗がん剤です。
また、HER2陽性乳癌では、ラパチニブとの併用療法として使用されることがあります。

一方で、実臨床では、術前化学療法後に病理学的完全奏効が得られなかったnon-pCR症例(HER2陰性乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌)に対して、術後補助療法としてカペシタビンが使用される場面もあります。
この使用は国内添付文書上の効能・効果とは完全には一致しない場面がありますが、CREATE-X試験を根拠に用いられることがあります。
CREATE-X試験では、カペシタビン1,250mg/m²を1日2回、14日間内服し、7日間休薬するスケジュールで6〜8サイクル投与されており、投与法としてはB法に相当します。ただし保険適用外の位置づけであることをご認識ください。

使用場面主な使われ方薬局での見え方処方背景として考えたいこと
手術不能又は再発乳癌カペシタビン単独療法カペシタビンのみが周期的に処方される転移・再発乳癌に対する化学療法として使用されている可能性
HER2陽性の手術不能又は再発乳癌ラパチニブ+カペシタビンタイケルブとカペシタビンが同時に処方される
HER2陽性乳癌で、抗HER2療法後の治療として使用されている可能性
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌ツカチニブ+トラスツズマブ+カペシタビン
ツカチニブ錠とカペシタビンが同時に処方される後方治療としての位置づけ
C法相当での用量設定(ツカイザ適正使用ガイドより)
術前化学療法後のnon-pCR症例術後カペシタビン療法手術後にカペシタビンが一定期間処方される(臨床試験上ではB法相当の用法用量)HER2陰性乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌で、術前治療後に病変が残存した症例の可能性(保険適応外)
他治療後の後方ライン単独療法または他治療後の選択肢以前に点滴抗がん剤、抗HER2薬、内分泌療法、CDK4/6阻害薬などの治療歴があることがある治療ラインが進んだ後の経口抗がん剤として使用されている可能性

乳癌でカペシタビンが処方されている場合、まず考えやすいのは手術不能又は再発乳癌に対する単独療法です。
カペシタビンは内服薬であるため、薬局では「点滴治療ではなく飲み薬の抗がん剤に切り替わった」「しばらく内服で治療を続ける」といった患者さんの話から、再発・転移乳癌に対する治療である可能性を推測できることがあります。

また、タイケルブ錠(ラパチニブ)が併用されている場合は、HER2陽性の手術不能又は再発乳癌に対する、ラパチニブ+カペシタビン療法を考えます。
この場合、カペシタビンの副作用だけでなく、ラパチニブによる下痢、皮疹、肝機能障害などにも注意が必要です。

一方で、術後にカペシタビンが処方されている場合は、術前化学療法後のnon-pCR症例に対する術後補助療法として使用されている可能性があります。
特に、HER2陰性乳癌やトリプルネガティブ乳癌で、術前化学療法後に手術を行い、病理検査でがん細胞が残っていた場合に、再発リスク低下を目的としてカペシタビンが追加されることがあります。

ただし、このnon-pCR症例に対する術後カペシタビン療法は、ガイドライン上では重要な治療選択肢として位置づけられている一方で、添付文書上は早期乳癌の術後補助療法としての適応ではありません。
乳癌でカペシタビンが処方されている場合は、再発・転移なのか、HER2陽性でラパチニブ併用なのか、ツカチニブ併用か、術前化学療法後のnon-pCR症例なのかを意識すると、処方背景を整理しやすくなります。

大腸癌(結腸・直腸癌)でカペシタビンが使用される主な場面を見る

カペシタビンは、大腸癌では主に次の場面で使用されます。

① 結腸・直腸癌の術後補助化学療法

根治切除後に再発リスクがある患者に対して、再発を抑える目的で使用されます。

主な対象は、以下のような患者です。

  • Stage IIIの結腸癌・直腸癌
  • 再発リスクが高く、術後補助化学療法を行うと判断されたStage II症例

主なレジメンは次のとおりです。

レジメン治療内容カペシタビンの投与法
CAPOX療法カペシタビン+オキサリプラチンC法
カペシタビン単独療法カペシタビン単剤B法

全身状態や年齢、併存疾患、オキサリプラチンによる末梢神経障害のリスクなどを考慮して、CAPOX療法またはカペシタビン単独療法が選択されます。

CAPOX療法では、一般的にカペシタビンを14日間服用し、7日間休薬する21日周期で治療を繰り返します。

カペシタビン単独療法も同様に14日間服用・7日間休薬ですが、CAPOX療法とは1回投与量が異なるため、処方監査では「単独療法か、オキサリプラチン併用か」を確認する必要があります。

② 治癒切除不能な進行・再発大腸癌

遠隔転移や局所進行などにより根治切除が困難な場合、または術後に再発した場合に、病勢を抑える目的で使用されます。

カペシタビンは、原則として他の抗悪性腫瘍薬や分子標的薬と組み合わせて使用されます。

主なレジメンは次のとおりです。

レジメン治療内容カペシタビンの投与法
CAPOX療法カペシタビン+オキサリプラチンC法
CAPOX+ベバシズマブ療法カペシタビン+オキサリプラチン+ベバシズマブC法
CAPIRI療法カペシタビン+イリノテカンE法
CAPIRI+ベバシズマブ療法カペシタビン+イリノテカン+ベバシズマブE法

実臨床では、腫瘍の遺伝子変異、原発巣の部位、治療歴、全身状態、併存疾患、副作用リスクなどを考慮して治療法が選択されます。

CAPOX療法は、点滴の5-FUを用いるFOLFOX療法と同様に、オキサリプラチンを含む治療の選択肢です。中心静脈ポートや持続点滴を必要としないことが利点となる一方、服薬管理や手足症候群、下痢などへの対応が重要になります。

CAPIRI療法では、イリノテカンによる下痢や好中球減少に加え、カペシタビンによる下痢が重なる可能性があるため、特に慎重な副作用管理が必要です。

③ 局所進行直腸癌に対する放射線化学療法

直腸癌では、局所再発リスクの低下、腫瘍縮小、切除可能性や肛門温存率の向上などを目的として、手術前を中心に放射線治療とカペシタビンを併用することがあります。

カペシタビンは、放射線治療の効果を高める放射線増感薬として使用されます。

治療カペシタビンの服用方法の特徴
放射線化学療法放射線照射日に合わせて服用することが多い
一般的な処方例月曜日から金曜日まで服用し、土曜日・日曜日は休薬
カペシタビンの投与法D法

処方日数は放射線治療のスケジュールにより異なり、5日分、10日分、20日分など、通常の「14日間服用・7日間休薬」とは異なる処方になることがあります。

そのため、直腸癌患者にカペシタビンが平日のみ服用する形で処方されている場合は、放射線治療との併用を考えます。

放射線治療を受ける曜日や照射期間が変更された場合には、カペシタビンの服用日も変更される可能性があるため、患者が病院から説明された服用スケジュールを確認することが重要です。

④ 局所進行直腸癌に対する術前の総合的な治療

近年、局所進行直腸癌では、手術前に放射線化学療法と全身化学療法を組み合わせるTotal Neoadjuvant Therapy:TNTが行われることがあります。

TNTでは、治療の一部として次のようなカペシタビン含有治療が用いられる可能性があります。

  • 放射線治療とカペシタビンの併用
  • CAPOX療法による全身化学療法

同じ患者でも治療期間中に、

  • 放射線照射日に服用するD法
  • CAPOX療法として14日間服用・7日間休薬するC法へ処方内容が切り替わることがあります。

投薬後の対応を確認する

  • カペシタビン服用中の患者を薬局でフォローするポイント
  • カペシタビンに関するトレーシングレポートの記載例

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