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カペシタビンが処方されたら

※本サイトは薬局薬剤師向けの情報整理・実務支援を目的として作成しています。
実際の治療方針・処方判断は、最新の電子添文・適正使用ガイド・ガイドラインおよび処方元の判断をご確認ください。

このページの使い方

このページはカペシタビンの用量監査を行うために整理したページです。
処方箋の情報、患者からの情報で用量監査を正確に行いましょう。

1.カペシタビン監査のチェックリスト
2.A~E法を判定する
3.体表面積から用量を確認する
4.減量されている場合を確認する
5.用量監査のために患者へ確認すること
6.緊急性の高い症状がないか確認する
7.関連情報を確認する

1.カペシタビン監査のチェックリスト

カペシタビンは、がん種・治療目的・併用薬によって用量と投与スケジュールが異なります。処方箋だけで妥当性を判断できない場合は、患者への聞き取り、お薬手帳、点滴治療歴、病院の公開レジメンを確認します。

確認項目確認する内容
併用禁忌S-1投与中、またはS-1中止後7日以内ではないか
Ccr 30mL/min未満ではないか
併用注意ワルファリン、フェニトイン、トリフルリジン・チピラシルなどの併用がないか
腎機能Ccr、血清Cr、年齢、体重を確認する
Ccr 30~50mL/minでは開始用量の減量が検討されているか
投与日数・休薬何日服用し、何日休薬する処方か
治療スケジュールを患者が把握しているか
用量どの投与法(A法~E法)に該当するかを確認し、体表面積別用量表と照合する
→癌種や併用療法で異なる
服用時点朝食後および夕食後30分以内になっているか

※添付文書、ゼローダ適正使用ガイドより作成

Ccrの計算と腎機能の目安を見る

Cockcroft-Gault式
Ccr(mL/min)={(140-年齢)×体重(kg)}÷{72×血清Cr(mg/dL)}
女性は算出値に0.85を掛けます。

  • Ccr 51~80mL/min:通常量での開始を検討
  • Ccr 30~50mL/min:開始用量の75%を検討
  • Ccr 30mL/min未満:原則投与しない。処方元へ確認

体表面積・Ccr計算:JCOG計算ツール

2.A~E法を判定する

以下のフローチャートを用いてA法~E法を判定します。

カペシタビンA~E法判定フローチャート

2-1.服用日数と休薬期間から絞り込む

服用方法疑う投与法注意点
21日間服用・7日間休薬A法手術不能・再発乳癌で用いられる
14日間服用・7日間休薬B法・C法・E法日数だけでは判定できない
5日間服用・2日間休薬D法直腸癌の放射線照射併用を疑う

14日間服用・7日間休薬という情報だけでは、B法・C法・E法を区別できません。併用薬と治療背景を確認します。

2-2.併用薬・治療背景から判定する

得られた情報想定される投与法主な確認ポイント
手術不能・再発乳癌で単独療法A法またはB法連続21日服用か、14日服用か
ラパチニブ併用、ツカチニブ併用C法タイケルブの併用、ツカイザの併用
大腸癌術後でカペシタビン単独B法オキサリプラチン併用がないか
オキサリプラチン併用C法CAPOX療法
イリノテカン併用E法CAPIRI療法
胃癌で白金製剤併用C法CAPOX療法またはXP療法
直腸癌で放射線治療中D法照射日と服用日が一致しているか

判定できない場合:患者への聞き取り、お薬手帳、点滴治療歴、病院の公開レジメンを確認し、それでも不明な場合は処方元へ確認します。

3.体表面積から用量を確認する

開始用量はA法~E法の該当を確認した後、体表面積より1回用量を決定します。監査上、今回の処方内容と監査の用量が異なる場合は何かしらの理由で減量等が入っているか、A法~E法の見るべき部分が異なる可能性もあります。どうしても納得できる用量監査ではない場合は処方元に確認を行う必要も出てきます。

投与法1回量の基準スケジュール主な使用場面
A法825mg/m²相当21日服用・7日休薬手術不能・再発乳癌
B法1,250mg/m²相当14日服用・7日休薬乳癌、大腸癌単独
C法1,000mg/m²相当14日服用・7日休薬CAPOX、胃癌での白金製剤併用、ラパチニブ併用など
D法825mg/m²相当5日服用・2日休薬直腸癌の放射線照射併用
E法800mg/m²相当14日服用・7日休薬CAPIRIなど

※添付文書より作成

A法の用量表を見る
体表面積1回用量1日用量
1.31m²未満900mg(3錠)1,800mg(6錠)
1.31m²以上1.64m²未満1,200mg(4錠)2,400mg(8錠)
1.64m²以上1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
B法の用量表を見る
体表面積1回用量1日用量
1.33m²未満1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
1.33m²以上1.57m²未満1,800mg(6錠)3,600mg(12錠)
1.57m²以上1.81m²未満2,100mg(7錠)4,200mg(14錠)
1.81m²以上2,400mg(8錠)4,800mg(16錠)
C法の用量表を見る
体表面積1回用量1日用量
1.36m²未満1,200mg(4錠)2,400mg(8錠)
1.36m²以上1.66m²未満1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
1.66m²以上1.96m²未満1,800mg(6錠)3,600mg(12錠)
1.96m²以上2,100mg(7錠)4,200mg(14錠)
D法の用量表を見る
体表面積1回用量1日用量
1.31m²未満900mg(3錠)1,800mg(6錠)
1.31m²以上1.64m²未満1,200mg(4錠)2,400mg(8錠)
1.64m²以上1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
E法の用量表を見る
体表面積1回用量1日用量
1.31m²未満900mg(3錠)1,800mg(6錠)
1.31m²以上1.69m²未満1,200mg(4錠)2,400mg(8錠)
1.69m²以上2.07m²未満1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
2.07m²以上1,800mg(6錠)3,600mg(12錠)

4.減量されている場合を確認する

処方量が開始用量表と一致しない場合でも、直ちに過量・過少量とは判断しません。副作用、腎機能、全身状態などにより減量されている可能性があります。

B法・C法の減量時は、開始用量表の体表面積区分をずらして判断せず、電子添文の「減量段階1・減量段階2」の用量表で確認します。

4-1.B法・C法の減量段階1・2を確認する

電子添文では、B法およびC法について、副作用発現時の休薬・減量規定と、減量時の1回用量が示されています。減量後の用量は、以下の専用表と照合します。

一度減量した後は、原則として再増量しません。

B法:1,250mg/m²相当量で開始した場合の減量用量を見る

1回用量を示しています。朝食後・夕食後30分以内に1日2回服用します。

体表面積減量段階1
1回用量
減量段階2
1回用量
1.13m²未満900mg
(3錠)
600mg
(2錠)
1.13m²以上
1.21m²未満
1,200mg
(4錠)
600mg
(2錠)
1.21m²以上
1.45m²未満
1,200mg
(4錠)
900mg
(3錠)
1.45m²以上
1.69m²未満
1,500mg
(5錠)
900mg
(3錠)
1.69m²以上
1.77m²未満
1,500mg
(5錠)
1,200mg
(4錠)
1.77m²以上1,800mg
(6錠)
1,200mg
(4錠)

※300mg錠で換算。1日用量は上記1回用量の2倍です。

C法:1,000mg/m²相当量で開始した場合の減量用量を見る

1回用量を示しています。朝食後・夕食後30分以内に1日2回服用します。

体表面積減量段階1
1回用量
減量段階2
1回用量
1.41m²未満900mg
(3錠)
600mg
(2錠)
1.41m²以上
1.51m²未満
1,200mg
(4錠)
600mg
(2錠)
1.51m²以上
1.81m²未満
1,200mg
(4錠)
900mg
(3錠)
1.81m²以上
2.11m²未満
1,500mg
(5錠)
900mg
(3錠)
2.11m²以上1,500mg
(5錠)
1,200mg
(4錠)

※300mg錠で換算。1日用量は上記1回用量の2倍です。

出典:カペシタビン電子添文「休薬・減量について」

4-2.A法・D法・E法で減量されている場合

A法・D法・E法については、B法・C法と同様の体表面積別減量表は電子添文に示されていません。D法・E法は患者の状態に応じて適宜減量するとされていますが、具体的な減量率や減量後用量は一律に定められていません。

D法・E法では「患者の状態により適宜減量する」とされていますが、具体的な減量率や減量後用量は一律に定められていません。なお、A法には「患者の状態により適宜減量する」との記載自体がありません。ただし、これはA法で減量を行わないという意味ではありません。副作用や全身状態などにより用量調整が必要な場合は、治療レジメン、施設基準、臨床試験の投与基準などを確認し、個別に判断する必要があります。

B法・C法の減量段階1・2の表を、A法・D法・E法へ機械的に当てはめないよう注意します。

A法・D法・E法で開始用量より少ない処方が出ている場合は、次の情報を確認します。

  • 前回の処方量と減量前の用量
  • 減量・休薬となった理由
  • 手足症候群、下痢、口内炎などの副作用歴
  • 腎機能、全身状態
  • 併用レジメンと併用薬の減量状況
  • 処方元の治療計画、施設レジメン、患者への説明内容

具体的な減量方法を確認できない場合は、推測で減量段階を判定せず、処方元へ確認します。

4-3.減量処方で共通して確認すること

  • 前回処方量と比較する
  • 減量・休薬の説明があったか確認する
  • 副作用の発現時期、程度、日常生活への影響を確認する
  • 腎機能低下がないか確認する
  • 判断できない場合は処方元へ確認する

5.用量監査のために患者へ確認すること

用量監査をする上で必要な患者確認事項を「初回処方時」「継続処方時」で分けて整理しました。
これが全てではありませんが、参考にしてみてください。

5-1.初回処方時

確認項目患者への確認例
治療背景今回は何の治療と説明されていますか
点滴薬病院で点滴の抗がん薬も受けていますか
服用スケジュール何日間飲んで、何日間休むと説明されていますか
開始日いつから飲み始めますか

5-2.継続処方時

確認項目患者への確認例
服薬状況予定通り服用・休薬できましたか。残薬はありますか
用量変更今回、錠数や服用日数が変わる説明はありましたか
副作用の発現状況副作用による減量や休薬はないか

6.緊急性の高い症状がないか確認する

用量監査とあわせて、重篤な副作用を疑う症状がないか確認します。

38℃以上の発熱、水分が取れないほどの下痢・嘔吐、強い口内炎、歩行困難を伴う手足の症状、胸痛、息切れ、出血などがある場合は、次回受診まで様子を見ず、医療機関への連絡を検討します。

症状別の確認方法や対応の目安は、以下のページをご確認ください。

[カペシタビン服用中の患者を薬局でフォローするポイント]

38℃以上の発熱
激しい下痢、水分が取れない、尿量が少ない
強い腹痛、血便
食事や水分が取れないほどの口内炎・嘔吐
手足の強い痛み、水疱、歩行困難
胸痛、動悸、冷汗
咳、息切れ、呼吸困難
黒色便、血尿、止まりにくい出血
黄疸、全身の強い発疹

7.関連情報を確認する

さらなる周辺情報を下記リンクへ掲載してあります。気になる点はご参照ください。

がん種・治療背景から確認する

胃癌でカペシタビンが使用される主な場面

乳癌でカペシタビンが使用される主な場面

大腸癌でカペシタビンが使用される主な場面

投薬後の対応を確認する

  • カペシタビン服用中の患者を薬局でフォローするポイント
  • カペシタビンに関するトレーシングレポートの記載例

<注意事項>

本サイトは、薬局薬剤師向けのがん薬物療法に関する情報整理および実務支援を目的として作成しています。

掲載内容は、ガイドライン・電子添文・適正使用ガイド・公開文献等を参考に作成していますが、最新情報・個別症例への完全な適合性を保証するものではありません。

実際の診療・処方・治療方針については、最新の電子添文、各種ガイドライン、主治医・医療機関の判断を優先してください。

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