MENU

カペシタビンが処方されたときに考えること

※本サイトは薬局薬剤師向けの情報整理・実務支援を目的として作成しています。
実際の治療方針・処方判断は、最新のガイドライン・添付文書および主治医の判断をご確認ください。

~1.投与前に確認すること~

1-1.監査ポイント

カペシタビンは、がん種・治療目的・レジメンによって用量・投与スケジュールが異なるため、処方箋だけで妥当性を判断しきれない場合ばあります。まずがん種の確認を行い、確認が難しければ必要に応じて「処方背景を推測する」でがん種・レジメンを整理します。

確認項目確認する内容
併用禁忌S-1投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者
重度の腎機能障害のある患者(Ccr=30mL/min未満
併用注意フェニトイン(血中濃度上昇)
ワルファリン:INR上昇・出血リスクに注意(作用増強)警告へも記載あり!

トリフルリジン・チピラシル副作用の増強(フッ化ピリミジン系の代謝に影響)
がん種胃癌、大腸癌(結腸・直腸癌)、乳癌に適応
腎機能Ccr(mL/min)、eGFR、血清クレアチニン、年齢、身長、体重を確認する
 体表面積の算出はこちらを参照→https://jcog.jp/doctor/tool/calc/(DuBois式
で算出)
カペシタビンでは腎機能低下により副作用リスクが高まるため、Ccrの確認が重要
 <腎機能と投与量>(※ゼローダ®適正使用ガイドより)
 Ccrが51~80mL/min:軽度腎機能低下→通常量。開始時減量は不要
 Ccrが 30〜50mL/min:中等度腎機能低下→75%減量が推奨(1段階減量)
 Ccr=30mL/min未満:重度腎機能低下→投与不可

Ccrは検査値で出ていないことも多いので、年齢・体重、血清クレアチニンから算出する
[Cockcroft-Gault式]
 Ccr推定値(mL/min)=(140-年齢)×体重(kg)/72×血清クレアチニン値(mg/dL)
(女性の場合はさらにを0.85倍にする)

 Ccrをこちらで算出→https://jcog.jp/doctor/tool/calc/
投与日数
休薬期間
適応がん種沿ったレジメン・休薬期間か
治療スケジュールを患者が把握しているか
用量処方箋記載用量が適切か?減量であれば適切な減量なのか?
レジメンで用量設定が異なるので注意!
→まずはレジメンを判明させ、A法~E法のどれに当てはまるか明確にする
食後服用朝食後・夕食後の1日2回になっているか(空腹時は血中濃度が上がりやすく副作用が出やすい

1-2.患者に説明すべき副作用

カペシタビンでは、特に手足症候群、下痢・脱水、口内炎、骨髄抑制、食欲不振を早期に確認することが重要です。患者には、症状が強くなってからではなく、手足の違和感や下痢の回数増加など、初期症状の段階で相談するよう説明します。

副作用患者に伝える症状
手足症候群手のひらや足の裏の赤み、ヒリヒリ感、しびれ、痛み、皮むけ
下痢・脱水下痢が続く、回数が増える、水分が取れない、ふらつく、尿が少ない
口内炎口の痛み、しみる、ただれ、食事や水分が取りにくい
悪心・食欲不振吐き気、食べられない、体重減少、強いだるさ
骨髄抑制・感染症発熱、のどの痛み、寒気、強いだるさ、出血しやすい
間質性肺炎咳、息切れ、息苦しさ、発熱
心障害胸の痛み、動悸、息切れ、むくみ、冷や汗

※その他、発疹・かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿量が少ない、意識がぼんやりする、鼻血・血尿・黒色便などがある場合も注意。

1-3.すぐ病院へ連絡すべき症状

副作用の中でも、できるだけ早く医療機関への受診が必要な場合のものは患者さん自身で事前に把握し、すぐ電話で相談していただけるように判断基準を伝えることが大切になります。特に注意したい副作用・症状は以下になります。

38℃以上の発熱
激しい下痢・水分が摂れない
強い腹痛・血便
食事が摂れないほどの吐き気・嘔吐、口内炎
手足の強い痛み・水ぶくれ・歩きにくい
咳・息切れ・呼吸困難
胸の痛み・動悸・冷や汗
全身の発赤、黄疸、出血傾向

~2.処方背景を推測する~

2-1.想定されるがん種

カペシタビンの適応癌腫は以下になります。

  • 胃癌
  • 大腸癌(結腸・直腸癌)
  • 乳癌

適応がん種は少ないものの使用頻度の多い抗がん剤です。周術期、進行・再発どちらでも使用されるためカペシタビンの処方やお薬手帳記載は見かけることが多いかと思います。

監査の中での悩みポイントはカペシタビンの用量監査。処方せんと患者さんより情報収集を行い、A~E法にどれに当たるかを判明させましょう。そこから体表面積よりA法~E法の該当する換算表を使って1回量(1日量)を確認し、カペシタビンの用量の妥当性を評価します。

レジメンがわかれば当該病院で公開されているレジメンを確認し、用量の確認ができる場合があります。

胃癌でカペシタビンが使用される主な場面を見る

胃癌においてカペシタビンは、主にオキサリプラチンとの併用療法であるCAPOX療法として使用されます。
胃癌では「カペシタビン単独療法」よりも、CapeOX療法の一部として処方されている可能性を考えることが重要です。

使用場面主なレジメン薬局での見え方処方背景として考えたいこと
術後補助化学療法CAPOX療法カペシタビンが周期的に処方され、病院でオキサリプラチン点滴を受けている胃切除後、再発予防目的で行われている可能性
pStage III術後CAPOX療法など「術後」「リンパ節転移あり」「半年程度の治療予定」などの情報が得られることがあるS-1単独ではなく併用療法が選択されている可能性
切除不能・進行再発胃癌CAPOX療法を含むフッ化ピリミジン+白金製剤ベースの治療カペシタビンに加えて、点滴治療歴や制吐薬、末梢神経障害対策薬などがみられることがある病勢制御目的の全身化学療法として使用されている可能性
カペシタビン単独に見える場合併用療法からの変更、点滴薬中止後の継続など処方箋上はカペシタビンのみ確認されるオキサリプラチンの末梢神経障害などで点滴薬が中止され、内服のみ継続している可能性もある

胃癌でカペシタビンが処方されている場合、まず確認したいのは、病院でオキサリプラチンの点滴を受けているかどうかです。
オキサリプラチンの点滴と組み合わされている場合は、CAPOX療法として、術後補助化学療法または進行・再発胃癌に対する治療で使用されている可能性があります。

一方で、カペシタビン単独の処方だけでは、胃癌の治療背景を断定することは難しく、乳癌や大腸癌など他のがん種で使用されている可能性もあります。
そのため、薬局では「何のがんで使用しているか」を直接確認するというよりも、患者さんの話の中から、手術歴、点滴治療の有無、治療予定期間、末梢神経障害の有無などを確認すると、治療背景を推測しやすくなります。

特に胃癌の周術期では、カペシタビンは単独療法というより、CAPOX療法として使用される薬剤と考えると整理しやすいです。

乳癌でカペシタビンが使用される主な場面を見る

乳癌においてカペシタビンは、主に手術不能又は再発乳癌に対して使用される内服抗がん剤です。
また、HER2陽性乳癌では、ラパチニブとの併用療法として使用されることがあります。

一方で、実臨床では、術前化学療法後に病理学的完全奏効が得られなかったnon-pCR症例(HER2陰性乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌)に対して、術後補助療法としてカペシタビンが使用される場面もあります。
この使用は国内添付文書上の効能・効果とは完全には一致しない場面がありますが、CREATE-X試験を根拠に用いられることがあります。
CREATE-X試験では、カペシタビン1,250mg/m²を1日2回、14日間内服し、7日間休薬するスケジュールで6〜8サイクル投与されており、投与法としてはB法に相当します。ただし保険適用外の位置づけであることをご認識ください。

使用場面主な使われ方薬局での見え方処方背景として考えたいこと
手術不能又は再発乳癌カペシタビン単独療法カペシタビンのみが周期的に処方される転移・再発乳癌に対する化学療法として使用されている可能性
HER2陽性の手術不能又は再発乳癌ラパチニブ+カペシタビンタイケルブとカペシタビンが同時に処方される
HER2陽性乳癌で、抗HER2療法後の治療として使用されている可能性
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌ツカチニブ+トラスツズマブ+カペシタビン
ツカチニブ錠とカペシタビンが同時に処方される後方治療としての位置づけ
C法相当での用量設定(ツカイザ適正使用ガイドより)
術前化学療法後のnon-pCR症例術後カペシタビン療法手術後にカペシタビンが一定期間処方される(臨床試験上ではB法相当の用法用量)HER2陰性乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌で、術前治療後に病変が残存した症例の可能性(保険適応外)
他治療後の後方ライン単独療法または他治療後の選択肢以前に点滴抗がん剤、抗HER2薬、内分泌療法、CDK4/6阻害薬などの治療歴があることがある治療ラインが進んだ後の経口抗がん剤として使用されている可能性

乳癌でカペシタビンが処方されている場合、まず考えやすいのは手術不能又は再発乳癌に対する単独療法です。
カペシタビンは内服薬であるため、薬局では「点滴治療ではなく飲み薬の抗がん剤に切り替わった」「しばらく内服で治療を続ける」といった患者さんの話から、再発・転移乳癌に対する治療である可能性を推測できることがあります。

また、タイケルブ錠(ラパチニブ)が併用されている場合は、HER2陽性の手術不能又は再発乳癌に対する、ラパチニブ+カペシタビン療法を考えます。
この場合、カペシタビンの副作用だけでなく、ラパチニブによる下痢、皮疹、肝機能障害などにも注意が必要です。

一方で、術後にカペシタビンが処方されている場合は、術前化学療法後のnon-pCR症例に対する術後補助療法として使用されている可能性があります。
特に、HER2陰性乳癌やトリプルネガティブ乳癌で、術前化学療法後に手術を行い、病理検査でがん細胞が残っていた場合に、再発リスク低下を目的としてカペシタビンが追加されることがあります。

ただし、このnon-pCR症例に対する術後カペシタビン療法は、ガイドライン上では重要な治療選択肢として位置づけられている一方で、添付文書上は早期乳癌の術後補助療法としての適応ではありません。
乳癌でカペシタビンが処方されている場合は、再発・転移なのか、HER2陽性でラパチニブ併用なのか、ツカチニブ併用か、術前化学療法後のnon-pCR症例なのかを意識すると、処方背景を整理しやすくなります。

大腸癌(結腸・直腸癌)でカペシタビンが使用される主な場面を見る

カペシタビンは、大腸癌では主に次の場面で使用されます。

① 結腸・直腸癌の術後補助化学療法

根治切除後に再発リスクがある患者に対して、再発を抑える目的で使用されます。

主な対象は、以下のような患者です。

  • Stage IIIの結腸癌・直腸癌
  • 再発リスクが高く、術後補助化学療法を行うと判断されたStage II症例

主なレジメンは次のとおりです。

レジメン治療内容カペシタビンの投与法
CAPOX療法カペシタビン+オキサリプラチンC法
カペシタビン単独療法カペシタビン単剤B法

全身状態や年齢、併存疾患、オキサリプラチンによる末梢神経障害のリスクなどを考慮して、CAPOX療法またはカペシタビン単独療法が選択されます。

CAPOX療法では、一般的にカペシタビンを14日間服用し、7日間休薬する21日周期で治療を繰り返します。

カペシタビン単独療法も同様に14日間服用・7日間休薬ですが、CAPOX療法とは1回投与量が異なるため、処方監査では「単独療法か、オキサリプラチン併用か」を確認する必要があります。

② 治癒切除不能な進行・再発大腸癌

遠隔転移や局所進行などにより根治切除が困難な場合、または術後に再発した場合に、病勢を抑える目的で使用されます。

カペシタビンは、原則として他の抗悪性腫瘍薬や分子標的薬と組み合わせて使用されます。

主なレジメンは次のとおりです。

レジメン治療内容カペシタビンの投与法
CAPOX療法カペシタビン+オキサリプラチンC法
CAPOX+ベバシズマブ療法カペシタビン+オキサリプラチン+ベバシズマブC法
CAPIRI療法カペシタビン+イリノテカンE法
CAPIRI+ベバシズマブ療法カペシタビン+イリノテカン+ベバシズマブE法

実臨床では、腫瘍の遺伝子変異、原発巣の部位、治療歴、全身状態、併存疾患、副作用リスクなどを考慮して治療法が選択されます。

CAPOX療法は、点滴の5-FUを用いるFOLFOX療法と同様に、オキサリプラチンを含む治療の選択肢です。中心静脈ポートや持続点滴を必要としないことが利点となる一方、服薬管理や手足症候群、下痢などへの対応が重要になります。

CAPIRI療法では、イリノテカンによる下痢や好中球減少に加え、カペシタビンによる下痢が重なる可能性があるため、特に慎重な副作用管理が必要です。

③ 局所進行直腸癌に対する放射線化学療法

直腸癌では、局所再発リスクの低下、腫瘍縮小、切除可能性や肛門温存率の向上などを目的として、手術前を中心に放射線治療とカペシタビンを併用することがあります。

カペシタビンは、放射線治療の効果を高める放射線増感薬として使用されます。

治療カペシタビンの服用方法の特徴
放射線化学療法放射線照射日に合わせて服用することが多い
一般的な処方例月曜日から金曜日まで服用し、土曜日・日曜日は休薬
カペシタビンの投与法D法

処方日数は放射線治療のスケジュールにより異なり、5日分、10日分、20日分など、通常の「14日間服用・7日間休薬」とは異なる処方になることがあります。

そのため、直腸癌患者にカペシタビンが平日のみ服用する形で処方されている場合は、放射線治療との併用を考えます。

放射線治療を受ける曜日や照射期間が変更された場合には、カペシタビンの服用日も変更される可能性があるため、患者が病院から説明された服用スケジュールを確認することが重要です。

④ 局所進行直腸癌に対する術前の総合的な治療

近年、局所進行直腸癌では、手術前に放射線化学療法と全身化学療法を組み合わせるTotal Neoadjuvant Therapy:TNTが行われることがあります。

TNTでは、治療の一部として次のようなカペシタビン含有治療が用いられる可能性があります。

  • 放射線治療とカペシタビンの併用
  • CAPOX療法による全身化学療法

同じ患者でも治療期間中に、

  • 放射線照射日に服用するD法
  • CAPOX療法として14日間服用・7日間休薬するC法へ処方内容が切り替わることがあります。

2-2.処方日数・休薬期間から考える

投与法カペシタビンの投与期間休薬期間添付文書上の
適応癌腫
A法(28日サイクル)21日間7日間手術不能・再発乳癌
B法(21日サイクル)14日間7日間乳癌、大腸癌
C法(21日サイクル)14日間7日間乳癌、大腸癌(OX併用時)胃癌(白金製剤併用)
D法(28日サイクル)5日間2日間直腸癌における放射線照射併用
E法(21日サイクル)14日間7日間治癒切除不能な進行・再発結腸・直腸癌

☆単純に投与サイクルだけ見るとB法、C法、E法は全く同じ内服日数と休薬期間です。
しかし、適応されるカペシタビンの用量が異なるため別の投与法として添付文書に記載されています。
こちらの見分けは後ほどまとめます。

処方せんを受け付けた時点で21日分処方(休薬7日間)であればA法で「手術不能・再発乳癌」への適応です。

5日分や20日分など5の倍数であればD法を疑い、直腸癌における放射線照射併用療法を想定します。
その際は合わせて「放射線の併用」を患者さんより伺い確定して用量の監査を行います

イリノテカンとの併用がわかればレジメンはCAPIRI療法となります。
→CAPIRI療法はE法での用量設定のため、用量監査はこちら!

2-3.がん種・併用薬・治療背景から見た投与法の目安

問題はB法、C法、E法の14日間内服7日間休薬の21日サイクルの3つです。
今度は治療背景やがん種からの内訳表を示します。

がん種・治療背景想定される投与法主な確認ポイント
手術不能又は再発乳癌A法またはB法カペシタビン単独療法
HER2陽性乳癌でラパチニブ併用C法ラパチニブ併用の有無
結腸・直腸癌の術後補助化学療法B法単剤か、L-OHP(※1)併用か
→単独での術後補助ならB法
結腸・直腸癌の術後補助化学療法でオキサリプラチン併用C法上記でL-OHP併用がわかればレジメンはCAPOX
治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌C法またはE法CAPOX (Cape+L-OHP)→C法
CAPIRI(Cape+IRI(※2))→E法
胃癌で白金製剤併用C法L-OHPまたはCDDP(※3)併用の有無
(CAPOX療法 or SP療法)

※1:L-OHP=オキサリプラチン ※2:IRI=イリノテカン ※3:CDDP=シスプラチン 
※4:シスプラチン、カペシタビン併用療法(現在は使用頻度が減ってきている)

乳癌でカペシタビンが併用療法として処方される場合、添付文書上明確に整理しやすい代表例はラパチニブ併用である。ラパチニブ+カペシタビンはHER2陽性の手術不能又は再発乳癌で用いられ、カペシタビンはC法、すなわち14日内服・7日休薬で投与される。一方、臨床試験レベルではトラスツズマブ、エリブリン、タキサン系などとの併用も検討されているが、薬局で処方背景を推測する際には、標準的・添付文書上整理しやすい併用としてラパチニブをまず想定する

2-4.レジメンがわかったら用量監査

レジメンがわかればA法~E法のどれに該当するかわかります。
体表面積を確認し、患者さんの設定用量を確認しましょう。
1段階減量が妥当な場合は通常用量設定から1つ上の体表面積区分の量が妥当な用量となります。

A法:825mg/m²相当、21日内服7日休薬

主に、手術不能又は再発乳癌で使用されることがあります。

体表面積1回用量(300㎎錠換算)1日用量(300㎎錠換算)
1.31m²未満900mg(3錠)1,800㎎(6錠)
1.31m²以上 1.64m²未満1,200mg(4錠)2,400㎎(8錠)
1.64m²以上1,500mg(5錠)3,000㎎(10錠)

B法:1,250mg/m²相当、14日内服7日休薬

乳癌、結腸・直腸癌の術後補助化学療法(単独)などで使用されます。

体表面積1回用量(300㎎錠換算)1日用量(300㎎錠換算)
1.33m²未満1,500mg(5錠)3,000mg(10錠)
1.33m²以上 1.57m²未満1,800mg(6錠)3,600㎎(12錠)
1.57m²以上 1.81m²未満2,100mg(7錠)4,200㎎(14錠)
1.81m²以上2,400mg(8錠)4,800㎎(16錠)

B法は1回用量が比較的多いため、処方錠数が多く見える場合があります。

C法:1,000mg/m²相当、14日内服7日休薬

CAPOX(オキサリプラチン併用)によく確認する投与法です。

胃癌で白金製剤(オキサリプラチンorシスプラチン)と併用する場合、大腸癌でのCAPOX療法でC法を使用します。

乳癌では「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」に対してツカチニブ錠(ツカイザ®)とトラスツズマブとの併用にてカペシタビンがC法相当での併用とツカイザ®適正使用ガイドに記載があります。

体表面積1回用量(300㎎錠換算)1日用量(300㎎錠換算)
1.36m²未満1,200mg(4錠)2,400㎎(8錠)
1.36m²以上 1.66m²未満1,500mg(5錠)3,000㎎(10錠)
1.66m²以上 1.96m²未満1,800mg(6錠)3,600㎎(12錠)
1.96m²以上2,100mg(7錠)4,200㎎(14錠)

薬局では、カペシタビン単剤に見えても、実際には点滴オキサリプラチンと組み合わせたCAPOXの一部である可能性があります。

D法:825mg/m²相当、5日内服2日休薬を繰り返す

直腸癌で放射線照射と併用する場合に使用されます。

体表面積1回用量(300㎎錠換算)1日用量(300㎎錠換算)
1.31m²未満900mg(3錠)1,800㎎(6錠)
1.31m²以上 1.64m²未満1,200mg(4錠)2,400㎎(8錠)
1.64m²以上1,500mg(5錠)3,000㎎(10錠)

D法では、通常の「14日内服7日休薬」とは異なり、5日内服2日休薬を繰り返します。

放射線治療の予定に合わせて、平日のみ内服、土日休薬のような指示になっている場合があります。

E法:800mg/m²相当、14日内服7日休薬

添付文書では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する」と記載があります。

E法の場合、現場ではイリノテカンとの併用療法でのCAPIRI療法(±ベバシズマブ)で出ることがほとんどです。

そのため、患者さんからの聞き取りでイリノテカンの点滴が聞き取れた場合はE法の量で監査を行いましょう。

イリノテカンと薬剤名が聞けなくても「下痢に注意するように言われた」「点滴中にお腹がゴロゴロした、発汗がすごかった」など点滴時のコリン作動性症状を訴えていた場合もイリノテカンの可能性を考えます。

体表面積1回用量(300㎎錠換算)1日用量(300㎎錠換算)
1.31m²未満900mg(3錠)1,800㎎(6錠)
1.31m²以上 1.69m²未満1,200mg(4錠)2,400㎎(8錠)
1.69m²以上 2.07m²未満1,500mg(5錠)3,000㎎(10錠)
2.07m²以上1,800mg3,600㎎(12錠)

E法はB法・C法と同じ14日内服7日休薬ですが、1回用量が異なります。

そのため、14日分処方だけでB法・C法・E法を判断しないよう注意が必要です。

〜3.投薬後のフォローについて〜

カペシタビンでは、投薬後のフォローとして、手足症候群、下痢、口内炎、食欲低下、発熱、感染徴候などを確認します。

特に、カペシタビンでは手足症候群が比較的よくみられるため、痛みが強くなってからではなく、赤み・ヒリヒリ感・違和感の段階で早期に拾うことが重要です。

また、下痢や食欲低下が続くと脱水につながり、腎機能悪化や副作用増強の原因となることがあります。

患者には、症状を我慢せず、早めに医療機関または薬局へ相談するよう説明します。

3-1.手足症候群を早期に拾う

カペシタビンでは、手足症候群に注意が必要です。

手足症候群は、手のひらや足の裏に赤み、ヒリヒリ感、しびれ、痛み、腫れ、皮むけ、水ぶくれなどが出る副作用です。

初期症状の段階では、患者が「少し違和感があるだけ」「乾燥しているだけ」と感じていることもあります。

そのため、薬局では以下のように具体的に確認します。

確認したいこと患者への聞き取り例
手足の赤み手のひらや足の裏が赤くなっていませんか?
ヒリヒリ感・違和感手足がヒリヒリする、熱い感じがすることはありませんか?
痛み歩くと足の裏が痛い、物を持つと手が痛いことはありませんか?
皮むけ・水ぶくれ皮がむけたり、水ぶくれができたりしていませんか?
日常生活への影響歩きにくい、家事がしにくい、靴が履きにくいことはありませんか?
保湿・刺激回避保湿剤は使えていますか?熱いお風呂や強い摩擦を避けられていますか?

患者には、症状が強くなってからではなく、赤みやヒリヒリ感の段階で相談するよう説明します。

手足症候群が悪化すると、歩行や日常生活に支障が出ることがあります。

特に、痛みが強い、水ぶくれがある、歩きにくい、物を持ちにくい場合は、早めに医療機関へ連絡するよう伝えます。

3-2.下痢・口内炎・食欲低下を確認する

カペシタビンでは、下痢、口内炎、悪心、食欲不振も確認が必要です。

特に下痢が続く場合は、脱水や腎機能悪化につながる可能性があります。

腎機能が悪化すると、カペシタビンの副作用が強く出やすくなることがあるため、薬局での早期確認が重要です。

確認したい副作用患者への聞き取り例注意したい状況
下痢便の回数は増えていませんか?水のような便が続いていませんか?回数が多い、水分が取れない、ふらつく
脱水水分は取れていますか?尿の量は減っていませんか?尿が少ない、口が渇く、立ちくらみがある
口内炎口の中が痛い、しみる、食べにくいことはありませんか?食事や水分が取れない
悪心・嘔吐吐き気や嘔吐はありませんか?制吐薬は使えていますか?内服できない、水分が取れない
食欲低下食事量は普段と比べて減っていませんか?数日続く、体重が減っている、強いだるさがある

下痢や口内炎は、患者が「抗がん薬だから仕方ない」と我慢してしまうことがあります。

しかし、食事や水分が取れない状態が続く場合は、治療継続に影響するだけでなく、脱水や腎機能悪化につながる可能性があります。

特に、以下のような場合は、早めに医療機関へ連絡するよう説明します。

早めに連絡したい症状
激しい下痢がある
下痢の回数が増えている
水分が摂れない
ふらつきがある
尿が少ない
強い腹痛がある
血便がある
口内炎で食事や水分が摂れない
吐き気・嘔吐で内服や水分摂取が難しい

3-3.発熱・感染徴候・出血症状を確認する

カペシタビンでは、骨髄抑制により白血球や好中球が低下し、感染症に注意が必要となる場合があります。

また、血小板低下やワルファリン併用などにより、出血症状に注意が必要な場合もあります。

薬局では、発熱、咽頭痛、寒気、強いだるさ、出血しやすさなどを確認します。

確認したいこと患者への聞き取り例
発熱37.5℃以上、または38℃以上の熱はありませんか?
感染徴候のどの痛み、寒気、咳、痰、排尿時痛はありませんか?
全身状態いつもより強いだるさ、ぐったりする感じはありませんか?
出血症状鼻血、歯ぐきからの出血、血尿、黒い便、あざが増えることはありませんか?
ワルファリン併用ワルファリンを飲んでいませんか?最近INRが高いと言われていませんか?

患者には、発熱がある場合は自己判断で様子を見すぎず、医療機関へ連絡するよう説明します。

また、黒色便、血尿、鼻血が止まりにくい、あざが急に増えたなどの出血症状がある場合も、早めの連絡が必要です。

カペシタビンではワルファリンとの併用により凝固能異常や出血が問題となることがあるため、ワルファリン併用患者では特に注意します。

3-4.トレーシングレポートを検討する場面

カペシタビン投与中のフォローでは、副作用の程度や生活への影響を確認し、必要に応じてトレーシングレポートで医療機関へ情報提供します。

特に、手足症候群、下痢・脱水、口内炎、食欲低下は、次コースの継続可否や減量・休薬判断に関わる可能性があります。

状況トレーシングレポートで伝えたい内容
手足の赤み・痛みが出ている発現時期、症状の部位、痛みの程度、日常生活への影響
手足症候群で歩行や家事に支障がある歩行困難、靴が履けない、物が持ちにくいなどの具体的状況
下痢が続いている便回数、水様便の有無、腹痛・発熱・血便の有無
水分摂取が低下している水分摂取量、尿量低下、ふらつき、脱水疑い
口内炎で食事が摂りにくい食事量、水分摂取、痛みの程度、使用中の含嗽薬など
悪心・嘔吐で内服継続が難しい制吐薬使用状況、服薬可否、食事・水分摂取状況
発熱や感染徴候がある体温、咽頭痛、寒気、咳、強い倦怠感の有無
出血症状がある鼻血、歯肉出血、血尿、黒色便、皮下出血の有無
ワルファリンを併用している出血症状、INR確認状況、食事量低下や下痢の有無
患者が休薬期間を誤解している実際の服用状況、残薬、休薬理解の有無

トレーシングレポートでは、単に「副作用あり」と書くのではなく、いつから、どの程度、生活にどのくらい影響しているかを具体的に記載すると、医療機関側が判断しやすくなります。

たとえば、手足症候群であれば「手足の赤みあり」だけでなく、「足底痛により長時間歩行がつらい」「家事で物を持つと痛い」「保湿剤は使用できている」などを記載します。

下痢であれば、「1日何回か」「水様便か」「腹痛・発熱・血便があるか」「水分摂取はできているか」「尿量は減っていないか」を具体的に伝えます。

すぐに医療機関へ連絡を促す症状

以下の症状がある場合は、薬局での経過観察にとどめず、医療機関へ早めに連絡するよう説明します。

すぐに医療機関へ連絡を促す症状
38℃以上の発熱
激しい下痢・水分が摂れない
強い腹痛・血便
食事が摂れないほどの吐き気・嘔吐、口内炎
手足の強い痛み・水ぶくれ・歩きにくい
咳・息切れ・呼吸困難
胸の痛み・動悸・冷や汗
全身の発赤、黄疸、出血傾向

患者には、「次回受診まで様子を見る」のではなく、症状が強い場合や日常生活に影響する場合は、早めに相談するよう伝えます。

<注意事項>

本サイトは、薬局薬剤師向けのがん薬物療法に関する情報整理および実務支援を目的として作成しています。

掲載内容は、ガイドライン・添付文書・公開文献等を参考に作成していますが、最新情報・個別症例への完全な適合性を保証するものではありません。

実際の診療・処方・治療方針については、最新の添付文書、各種ガイドライン、主治医・医療機関の判断を優先してください。

本サイトの情報によって生じたいかなる損害についても、責任を負いかねますのでご了承ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする