※本サイトは薬局薬剤師向けの情報整理・実務支援を目的として作成しています。
実際の治療方針・処方判断は、最新のガイドライン・添付文書および主治医の判断をご確認ください。
~1.投与前に確認すること~
1-1. 監査ポイント
★S-1はがん種・治療目的・レジメンによって用量・投与スケジュールが異なるため、処方箋だけで妥当性を判断しきれない場合があります。まずがん種の確認を行い、確認が難しければ必要に応じて「処方背景を推測する」でがん種・レジメンを整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 併用禁忌 | 他のフッ化ピリミジン系薬剤、フルシトシンが併用されていないか ※治療変更の場合、7日以上の間隔があいているか |
| がん種 | 胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、乳癌、膵癌、胆道癌に適応 |
| 腎機能 | Ccr(mL/min)、eGFR、血清クレアチニン、年齢、体重を確認する <腎機能と投与量> Ccr=80mL/min以上→初回基準量 80>Ccr≧60→初回基準量(必要に応じて1段階減量) 60>Ccr≧30→原則として1段階以上の減量#(30~40未満は2段階減量#が望ましい) Ccr=30mL/min未満→投与不可 Ccrは検査値で出ていないことも多いので、年齢・体重、血清クレアチニンから算出する [Cockcroft-Gault式] Ccr推定値(mL/min)=(140-年齢)×体重(kg)/72×血清クレアチニン値(mg/dL) (女性の場合はさらにを0.85倍にする) |
| 投与日数 休薬期間 | 適応がん種の沿ったレジメン・休薬期間か 治療スケジュールを患者が把握しているか |
| 用量 | 処方箋記載用量が適切か?減量であれば適切な減量なのか? →大鵬薬品サイトより確認可能(https://www.taiho.co.jp/medical/brand/ts-1/keisan/) |
| 食後服用 | 朝食後・夕食後の1日2回になっているか確認する |
| 併用注意 | フェニトイン(血中濃度上昇)、ワルファリン(作用増強) |
1-2.患者に説明すべき副作用
| 副作用 | 患者に伝える症状 |
|---|---|
| 骨髄抑制・感染症 | 発熱、のどの痛み、強いだるさ、寒気 |
| 下痢・脱水 | 下痢が続く、回数が増える、水分が取れない、ふらつく |
| 口内炎 | 口の痛み、しみる、食事が取りにくい |
| 悪心・食欲不振 | 吐き気、食べられない、体重減少 |
| 肝障害 | 強いだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色い、尿が濃い |
| 間質性肺炎 | 咳、息切れ、息苦しさ、発熱 |
| 皮膚症状 | 発疹、かゆみ、手足の赤み・痛み、皮むけ、色素沈着 |
| 眼症状 | 涙が多い、目が痛い、見えにくい、目が乾く |
1-3.すぐ病院へ連絡すべき症状
副作用の中でも、できるだけ早く医療機関への受診が必要な場合のものは患者さん自身で事前に把握し、すぐ電話で相談していただけるように判断基準を伝えることが大切になります。特に注意したい副作用・症状は以下になります。
38℃以上の発熱
激しい下痢・水分が摂れない
食事が摂れない程の吐き気・嘔吐、口内炎
咳・息切れ・呼吸困難
全身の発赤、黄疸
出血傾向
~2.処方背景を推測する~
S-1は複数のがん種で使用される薬剤です。
そのため、処方内容だけでがん種やレジメンを断定することはできません。
薬局では、処方薬、用法・用量、投与スケジュール、併用薬、診療科、患者から得られる情報を組み合わせて、処方背景を推測します。ここでは、S-1が処方されたときに想定されるがん種・レジメン・ガイドライン上の位置づけを確認します。
2-1.想定されるがん種
S-1の適応癌腫は以下となります。
- 胃癌
- 膵癌
- 胆道癌
- 大腸癌(結腸・直腸癌)
- 乳癌
- 頭頸部癌
- 非小細胞肺癌
がん種とStage、手術予定の有無、点滴抗がん剤の併用薬の有無、支持療法がわかれば今後のフォロー内容がわかりますが、現場にいると必ずしも前述の情報が得られるとは限りません。
まずは、診療科でもどのがん種か絞ることができるので処方の診療科を確認してみましょう。
併用薬(支持療法)や治療段階もレジメン、がん種、Stageを推測する手がかりになります。
| 確認する情報 | 見るポイント |
| 診療科 | 消化器科、肝胆膵科、乳腺外科、呼吸器内科、頭頸部外科、耳鼻咽喉科など |
| 併用薬 | 点滴の抗がん剤の有無、制吐薬、止瀉薬などの支持療法薬、ホルモン療法薬など |
| 治療段階 | 周術期か進行・再発か |
2-2.投与日数・休薬期間から考える
S-1のA法~E法の投与スケジュールと適応癌腫(添付文書より作成)をまとめます。
| 投与法 | S-1の投与期間 | 休薬期間 | 添付文書上の 適応癌腫 |
|---|---|---|---|
| A法(42日サイクル) | 28日間 | 14日間 | 胃癌、結腸・直腸癌、 頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能・再発乳癌、 膵癌、胆道癌 |
| B法(35日サイクル) | 21日間 | 14日間 | 胃癌、非小細胞肺癌 |
| C法(21日サイクル) | 14日間 | 7日間 | 胃癌、結腸・直腸癌、 非小細胞肺癌、膵癌 |
| D法(28日サイクル) | 14日間 | 14日間 | 結腸・直腸癌 |
| E法(7日サイクル) | 7日間 | 7日間 | 胆道癌 |
| F法(21日サイクル) | 14日間 | 7日間 | 胆道癌 |
※いずれも原則として朝食後・夕食後の1日2回投与。
上記の表のようにスケジュールによっては癌腫を絞り込むことができます。
基本的にS-1単独療法は標準としてA法ですが、年齢、全身状態、腎機能などを考慮してS-1単独療法の治療ではあるものの、治療サイクル(投薬期間、休薬期間)が違うものが選ばれる場合もあるため、患者さんへスケジュール確認をしっかり行いましょう。
2-3.想定されるレジメン
各がん種でS-1が使用される主な場面を以下に整理します。様々な情報を患者さんから得てどんなフォローが必要か考えましょう。
| がん種 | 主な使用場面 | 薬局で確認したいこと |
|---|---|---|
| 胃癌 | 術後補助療法、進行・再発治療 | 手術後か、点滴併用があるか |
| 膵癌 | 術後補助療法、切除不能・再発治療 | 食欲不振、体重減少、下痢、倦怠感 |
| 胆道癌 | 切除不能・再発治療、術後補助療法 | GEM/CDDP併用、黄疸・胆管炎 |
| 大腸癌 | 術後補助療法、進行・再発治療 | オキサリプラチン、イリノテカン併用の有無 |
| 乳癌 | 再発・転移、術後薬物療法 | 内分泌療法薬併用の有無 |
| 頭頸部癌 | 再発・転移、放射線治療後など | 嚥下困難、口内炎、放射線治療歴 |
| 非小細胞肺癌 | 後方治療など | 前治療歴、分子標的薬・免疫療法歴 |
胃癌でS-1が使用される主な場面を見る
術後補助化学療法
pStageⅡ胃癌
pStageⅡ胃癌では、治癒切除後の再発予防を目的として、S-1単独療法が使用されることがあります。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されている場合、pStageⅡ胃癌の術後補助化学療法としてのS-1単独療法の可能性があります。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」「1年間くらい飲むと説明された」と聞き取れた場合は、胃癌術後補助療法としてのS-1単独療法を想定しやすくなります。
pStageⅢ胃癌
pStageⅢ胃癌では、S-1単独療法よりも、S-1+ドセタキセル療法、SOX療法、CapeOX療法などの併用療法が選択されることがあります。
薬局でS-1が処方されており、点滴でドセタキセルやオキサリプラチンを受けている場合は、pStageⅢ胃癌の術後補助化学療法としての併用療法を考えます。
切除不能・進行再発胃癌の一次治療
SOX療法
切除不能・進行再発胃癌では、S-1がオキサリプラチンとの併用療法であるSOX療法として使用されることがあります。
薬局でS-1が14日間内服・7日間休薬で処方されており、点滴でオキサリプラチンを受けている場合は、SOX療法の可能性があります。
患者から「3週間ごとに点滴がある」「オキサリプラチンを使っている」「冷たい物でしびれる」と聞き取れた場合は、SOX療法を考えます。
SP療法
S-1は、シスプラチンとの併用療法であるSP療法として使用されることがあります。
薬局でS-1が21日間内服・14日間休薬で処方されており、点滴でシスプラチンを受けている場合は、SP療法の可能性があります。
患者から「5週間ごとの治療」「シスプラチンを使っている」「点滴の日に補液を受ける」と聞き取れた場合は、SP療法を考えます。
HER2陽性胃癌
SP+トラスツズマブ、SOX+トラスツズマブ
HER2陽性の切除不能・進行再発胃癌では、S-1を含む化学療法にトラスツズマブを併用することがあります。
S-1が21日間内服・14日間休薬であればSP+トラスツズマブ、14日間内服・7日間休薬であればSOX+トラスツズマブの可能性があります。
患者から「HER2陽性と言われた」「ハーセプチン、トラスツズマブを使っている」と聞き取れた場合は、抗HER2療法併用の可能性を考えます。
併用療法が難しい場合
S-1単独療法
切除不能・進行再発胃癌で、年齢、全身状態、腎機能、併存疾患、通院負担などから多剤併用療法が難しい場合、S-1単独療法が選択されることがあります。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されており、点滴治療が確認できない場合は、術後補助療法だけでなく、切除不能・進行再発胃癌に対するS-1単独療法の可能性も考えます。
患者から「手術は難しいと言われた」「点滴ではなく飲み薬で治療している」「体力的に強い治療は難しいと言われた」と聞き取れた場合は、S-1単独療法の背景を考えます。
28日間内服・14日間休薬の場合
pStageⅡ胃癌の術後補助化学療法としてのS-1単独療法の可能性があります。
また、切除不能・進行再発胃癌で併用療法が難しい患者に対するS-1単独療法の可能性もあります。
患者から「手術後の再発予防で1年間飲む」と聞き取れた場合は術後補助療法を考えます。一方で、「手術は難しい」「再発している」「点滴ではなく内服治療」と聞き取れた場合は、切除不能・進行再発胃癌に対するS-1単独療法の可能性を考えます。
14日間内服・7日間休薬の場合
SOX療法、SOX+トラスツズマブ療法、または術後補助療法としてのSOX療法の可能性があります。
点滴でオキサリプラチンを受けているか、3週間ごとの治療か、冷感刺激や末梢神経障害がないかを確認すると、SOX系レジメンを推測しやすくなります。
21日間内服・14日間休薬の場合
SP療法、SP+トラスツズマブ療法の可能性があります。
点滴でシスプラチンを受けているか、5週間ごとの治療か、悪心・嘔吐対策や補液の有無、腎機能への注意が必要かを確認します。
S-1+ドセタキセル療法が疑われる場合
pStageⅢ胃癌の術後補助化学療法の可能性があります。
ドセタキセル点滴の有無、発熱性好中球減少症、倦怠感、脱毛、浮腫、爪障害などを確認します。
S-1単独で内服のみの場合
pStageⅡ胃癌の術後補助化学療法、切除不能・進行再発胃癌で併用療法が難しい場合のS-1単独療法、または減量・スケジュール調整後の処方である可能性があります。
処方日数だけでは判断できないため、手術歴、点滴治療の有無、治療目的、病院での説明内容をあわせて確認します。
膵癌でS-1が使用される主な場面を見る
術前補助療法
切除可能膵癌・切除可能境界膵癌
S-1は、ゲムシタビンとの併用療法であるGS療法として術前補助療法に用いられることがあります。
処方上は、S-1が14日間内服・7日間休薬で処方されている場合、術前GS療法の可能性があります。
薬局では、患者から「手術前の治療」「手術予定がある」「点滴も受けている」と聞き取れた場合、ゲムシタビン+S-1による術前補助療法の可能性を考えます。
術後補助化学療法
肉眼的根治切除後の膵癌
S-1単独療法が術後補助化学療法として推奨されます。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されている場合、膵癌術後補助化学療法の可能性があります。
一般的には、S-1を朝夕食後に内服し、4週間内服・2週間休薬を1コースとして継続します。
胃癌術後補助療法では1年間投与が目安となる一方、膵癌術後補助療法では約6か月間の治療として説明されることが多いため、患者から「手術後の再発予防で半年くらい飲む」と聞き取れた場合は、膵癌術後補助療法を想定しやすくなります。
局所進行切除不能膵癌
一次化学療法
局所進行切除不能膵癌では、FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法、ゲムシタビン単独療法などと並び、S-1単独療法が選択肢になることがあります。
ただし、現在の中心的な治療はFOLFIRINOX療法やゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法であり、S-1単独療法は、全身状態、年齢、併存疾患、通院負担、腎機能、患者希望などを踏まえて選択される場面が多いと考えられます。
薬局でS-1単独処方が出ている場合、患者から「手術は難しいと言われた」「点滴ではなく内服で治療している」と聞き取れた場合は、局所進行切除不能膵癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
遠隔転移を有する膵癌
一次化学療法の代替的選択肢
遠隔転移を有する膵癌では、FOLFIRINOX療法やゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法が中心になります。
一方で、全身状態や年齢などからこれらの治療が適さない場合、S-1単独療法が選択肢になることがあります。
薬局でS-1単独療法が処方されている場合、患者背景として、高齢、PS低下、点滴治療への忍容性、通院負担、併存疾患などが関係している可能性があります。
二次化学療法以降
ゲムシタビン関連レジメン後
一次治療でゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法やゲムシタビン単独療法などを行った後、病勢進行によりS-1単独療法が選択されることがあります。
患者から「以前は点滴の抗がん薬をしていた」「アブラキサンやジェムザールを使っていた」と聞き取れた場合は、ゲムシタビン関連レジメン後の二次治療としてS-1が処方されている可能性があります。
28日間内服・14日間休薬の場合
膵癌術後補助化学療法としてのS-1単独療法の可能性があります。
また、局所進行切除不能膵癌や遠隔転移を有する膵癌で、点滴併用療法が難しい患者に対するS-1単独療法の可能性もあります。
確認したい情報としては、手術歴、手術時期、再発予防目的か、治療期間の説明、次回受診日、体重減少、食欲不振、下痢、口内炎などがあります。
14日間内服・7日間休薬の場合
ゲムシタビン+S-1療法、特に術前GS療法の可能性があります。
ゲムシタビン点滴をday1、day8に受け、S-1をday1〜14に内服し、7日間休薬するスケジュールが想定されます。
患者から「手術前の治療」「点滴も一緒に受けている」「3週間ごとに治療している」と聞き取れた場合は、術前補助療法としてのGS療法を考えます。
S-1単独で内服のみの場合
術後補助化学療法、切除不能・進行再発膵癌の一次治療、またはゲムシタビン関連レジメン後の二次治療の可能性があります。
処方日数だけでは判断できないため、手術歴、点滴治療歴、治療目的、病院での説明内容を確認します。
胆道癌でS-1が使用される主な場面を見る
術後補助化学療法
根治切除後の胆道癌
S-1単独療法は、胆道癌の根治切除後の術後補助化学療法として使用されます。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されている場合、胆道癌術後補助化学療法としてのS-1単独療法の可能性があります。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」「半年くらい飲むと説明された」と聞き取れた場合は、胆道癌術後補助療法を想定しやすくなります。
切除不能・再発胆道癌の一次治療
GCS療法:ゲムシタビン+シスプラチン+S-1
切除不能・再発胆道癌では、S-1を含む代表的な一次治療としてGCS療法があります。
薬局でS-1が7日間内服・7日間休薬で処方されている場合、GCS療法の可能性があります。
GCS療法では、ゲムシタビン、シスプラチンの点滴とS-1内服を組み合わせ、2週間を1コースとして繰り返すスケジュールが用いられます。
患者から「点滴を受けた週だけS-1を飲む」「2週間ごとに治療している」「ゲムシタビン、シスプラチンも使っている」と聞き取れた場合は、GCS療法を考えます。
GS療法:ゲムシタビン+S-1
S-1は、ゲムシタビンとの併用療法であるGS療法として使用されることもあります。
薬局でS-1が14日間内服・7日間休薬で処方されている場合、GS療法の可能性があります。
GS療法では、3週間を1コースとして、ゲムシタビン点滴をday1、day8に行い、S-1をday1〜14に内服するスケジュールが想定されます。
患者から「3週間ごとに治療している」「点滴を2週続けて受けて、1週休む」「ジェムザールも使っている」と聞き取れた場合は、GS療法を考えます。
併用療法が難しい場合
S-1単独療法
切除不能・再発胆道癌で、年齢、全身状態、腎機能、併存疾患、通院負担などから多剤併用療法が難しい場合、S-1単独療法が選択肢になることがあります。
薬局でS-1単独処方が出ており、点滴治療がない場合は、術後補助療法だけでなく、切除不能・再発胆道癌に対するS-1単独療法の可能性も考えます。
患者から「手術は難しいと言われた」「点滴ではなく飲み薬で治療している」「体力的に強い治療は難しいと言われた」と聞き取れた場合は、切除不能・再発胆道癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
28日間内服・14日間休薬の場合
胆道癌根治切除後の術後補助化学療法としてのS-1単独療法の可能性があります。
また、切除不能・再発胆道癌で併用療法が難しい患者に対するS-1単独療法の可能性もあります。
確認したい情報としては、手術歴、手術時期、再発予防目的か、治療期間の説明、胆道ドレナージ歴、黄疸の有無、胆管炎の既往、発熱、腹痛、尿の濃染などがあります。
14日間内服・7日間休薬の場合
ゲムシタビン+S-1療法、つまりGS療法の可能性があります。
ゲムシタビン点滴をday1、day8に受け、S-1をday1〜14に内服し、7日間休薬するスケジュールが想定されます。
患者から「点滴も一緒に受けている」「3週間ごとに治療している」「2週続けて点滴をして1週休む」と聞き取れた場合は、GS療法を考えます。
7日間内服・7日間休薬の場合
ゲムシタビン+シスプラチン+S-1療法、つまりGCS療法の可能性があります。
ゲムシタビン、シスプラチンの点滴とS-1を組み合わせ、2週間ごとに繰り返すスケジュールが想定されます。
患者から「2週間ごとに点滴がある」「シスプラチンも使っている」「点滴の日から1週間だけS-1を飲む」と聞き取れた場合は、GCS療法を考えます。
S-1単独で内服のみの場合
術後補助化学療法、または切除不能・再発胆道癌で併用療法が難しい場合のS-1単独療法の可能性があります。
処方日数だけでは判断できないため、手術歴、点滴治療の有無、治療目的、病院での説明内容を確認します。
大腸癌でS-1が使用される主な場面を見る
術後補助化学療法
StageⅢ大腸癌、再発高リスクStageⅡ大腸癌
大腸癌では、R0切除後の再発抑制を目的として術後補助化学療法が行われます。
S-1は、オキサリプラチンとの併用療法であるSOX療法として術後補助化学療法に用いられることがあります。
薬局でS-1が14日間内服・7日間休薬で処方されている場合、術後補助化学療法としてのSOX療法の可能性があります。
SOX療法では、S-1をday1〜14に内服し、day1にオキサリプラチン点滴を行い、7日間休薬する3週間1コースのスケジュールが想定されます。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」「点滴も一緒に受けている」「半年くらい治療すると説明された」と聞き取れた場合は、大腸癌術後補助療法としてのSOX療法を考えます。
切除不能・進行再発大腸癌の一次治療
SOX療法、SOX+ベバシズマブ療法
切除不能・進行再発大腸癌では、S-1はオキサリプラチンとの併用療法であるSOX療法、またはSOX+ベバシズマブ療法として使用されることがあります。
薬局でS-1が14日間内服・7日間休薬で処方されており、点滴でオキサリプラチンやベバシズマブを受けている場合は、SOX系レジメンの可能性があります。
患者から「3週間ごとに点滴がある」「オキサリプラチンを使っている」「アバスチンやベバシズマブも使っている」と聞き取れた場合は、SOX±ベバシズマブ療法を考えます。
この場合、薬局ではS-1の下痢・口内炎・骨髄抑制だけでなく、オキサリプラチンによる末梢神経障害、冷感刺激、過敏症、ベバシズマブによる高血圧、蛋白尿、出血、創傷治癒遅延なども確認したいポイントになります。
切除不能・進行再発大腸癌の二次治療以降
IRIS療法、IRIS+ベバシズマブ療法
S-1は、イリノテカンとの併用療法であるIRIS療法として使用されることがあります。
薬局でS-1が14日間内服・14日間休薬で処方されている場合、IRIS療法またはIRIS+ベバシズマブ療法の可能性があります。
IRIS療法では、S-1をday1〜14に内服し、イリノテカンをday1、day15に点滴する4週間1コースのスケジュールが想定されます。ベバシズマブを併用する場合もあります。
患者から「以前はオキサリプラチンを使っていた」「手足のしびれが残っている」「今はイリノテカンの点滴を受けている」「4週間ごとのスケジュールで治療している」と聞き取れた場合は、IRIS系レジメンを考えます。
この場合、薬局ではS-1の副作用に加えて、イリノテカンによる下痢、骨髄抑制、悪心・嘔吐、脱毛なども確認したいポイントになります。
併用療法が難しい場合
S-1単独療法
切除不能・進行再発大腸癌で、年齢、全身状態、腎機能、併存疾患、通院負担、末梢神経障害、患者希望などから多剤併用療法が難しい場合、S-1単独療法が選択されることがあります。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されており、点滴治療が確認できない場合は、S-1単独療法の可能性があります。
ただし、大腸癌ではCAPOX療法、FOLFOX療法、FOLFIRI療法、分子標的薬併用療法なども多く用いられるため、S-1単独療法が処方されている場合は、全身状態や併存疾患、過去の治療歴を背景として考えるとよいです。
患者から「点滴治療は難しいと言われた」「飲み薬で治療している」「以前は点滴の抗がん薬を使っていた」と聞き取れた場合は、S-1単独療法または治療変更後の内服継続の可能性があります。
14日間内服・7日間休薬の場合
SOX療法、SOX+ベバシズマブ療法の可能性があります。
術後補助化学療法としてのSOX療法、または切除不能・進行再発大腸癌に対するSOX±ベバシズマブ療法のいずれも候補になります。
確認したい情報としては、手術歴、再発予防目的か、点滴でオキサリプラチンを受けているか、ベバシズマブを併用しているか、3週間ごとの治療か、末梢神経障害や冷感刺激がないか、血圧上昇や蛋白尿を指摘されていないか、などがあります。
14日間内服・14日間休薬の場合
IRIS療法、IRIS+ベバシズマブ療法の可能性があります。
イリノテカンをday1、day15に点滴し、S-1をday1〜14に内服する4週間1コースのスケジュールが想定されます。
患者から「イリノテカンを使っている」「カンプトと言われた」「以前はオキサリプラチンを使っていた」「4週間ごとの治療」と聞き取れた場合は、IRIS系レジメンを考えます。
確認したい情報としては、下痢、腹痛、発熱、食欲不振、悪心・嘔吐、脱毛、骨髄抑制を疑う症状、ベバシズマブ併用時の血圧・出血・蛋白尿などがあります。
28日間内服・14日間休薬の場合
S-1単独療法の可能性があります。
術後補助化学療法としてS-1単独が選択されている可能性、または切除不能・進行再発大腸癌で併用療法が難しい場合のS-1単独療法の可能性があります。
ただし、大腸癌ではカペシタビン単独、UFT+ロイコボリン、CAPOX、FOLFOX、FOLFIRIなども使用されるため、S-1単独療法が処方されている場合は、治療歴や患者背景を確認することが重要です。
S-1単独で内服のみの場合
術後補助化学療法、切除不能・進行再発大腸癌の治療、または点滴治療後の治療変更・維持的治療の可能性があります。
処方日数だけでは判断できないため、手術歴、点滴治療の有無、治療目的、過去に使ったレジメン、病院での説明内容を確認します。
乳癌でS-1が使用される主な場面を見る
HR陽性HER2陰性・再発高リスク乳癌の術後薬物療法
内分泌療法+S-1
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発リスクが高い乳癌では、術後内分泌療法にS-1を併用することがあります。
薬局でS-1が14日間内服・7日間休薬で処方されており、タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、LH-RHアゴニストなどの内分泌療法薬が併用されている場合、術後薬物療法としてのS-1併用を考えます。
この場合、S-1は朝食後・夕食後の1日2回、14日間内服し、7日間休薬するスケジュールを繰り返します。投与期間は最長1年間です。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」「ホルモン剤と一緒に飲む」「1年間くらい飲むと説明された」と聞き取れた場合は、HR陽性HER2陰性・再発高リスク乳癌に対する術後S-1併用療法を想定しやすくなります。
手術不能又は再発乳癌
S-1単独療法
手術不能又は再発乳癌に対して、S-1単独療法が選択されることがあります。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されている場合、手術不能又は再発乳癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
この場合、S-1は朝食後・夕食後の1日2回、28日間内服し、その後14日間休薬します。
患者から「再発して飲み薬で治療している」「転移があると言われた」「以前に点滴の抗がん薬を受けていた」「内分泌療法とは別に抗がん薬として飲んでいる」と聞き取れた場合は、手術不能又は再発乳癌に対するS-1単独療法を考えます。
内分泌療法中にS-1が追加された場合
術後薬物療法か、再発治療かを確認する
乳癌では、内分泌療法薬を長期間継続している患者に、途中からS-1が追加される場合があります。
この場合、術後補助療法として内分泌療法にS-1を併用している可能性があります。一方で、再発・転移乳癌に対して内分泌療法中または内分泌療法後にS-1へ治療変更・追加されている可能性もあります。
処方箋だけでは治療目的を判断しにくいため、手術後の再発予防なのか、再発・転移に対する治療なのかを確認します。
患者から「再発予防で1年間追加になった」と聞き取れた場合は術後S-1併用療法を考えます。
患者から「再発した」「転移がある」「治療が変わった」と聞き取れた場合は、再発・転移乳癌に対する治療の可能性を考えます。
他の術後治療と重なる場合
アベマシクリブやカペシタビンなどとの違いに注意
HR陽性HER2陰性乳癌の術後薬物療法では、患者背景によりアベマシクリブが使用されることもあります。
また、HER2陰性乳癌で術前化学療法後に浸潤癌の残存がある場合などでは、カペシタビンが使用されることもあります。
そのため、S-1が処方されている場合は、単に「乳癌の術後治療」とまとめず、HR陽性HER2陰性で再発高リスクの術後薬物療法なのか、手術不能・再発乳癌に対する治療なのかを確認します。
特にカペシタビンなど他のフッ化ピリミジン系薬剤との重複は禁忌に該当するため、併用薬の確認が重要です。
14日間内服・7日間休薬の場合
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスク乳癌に対する術後薬物療法として、内分泌療法にS-1を併用している可能性があります。
確認したい情報としては、手術後の再発予防目的か、内分泌療法薬が併用されているか、治療期間を1年間と説明されているか、化学療法後の追加治療なのか、閉経前か閉経後か、LH-RHアゴニストの併用があるか、などがあります。
患者から「ホルモン剤と一緒に飲む」「再発予防で追加になった」「1年間飲む」と聞き取れた場合は、術後S-1併用療法を考えます。
28日間内服・14日間休薬の場合
手術不能又は再発乳癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
確認したい情報としては、再発・転移の有無、過去の点滴治療歴、内分泌療法歴、HER2治療歴、現在の治療目的、骨転移や疼痛の有無、制吐薬や鎮痛薬の併用状況などがあります。
患者から「再発して飲み薬になった」「転移がある」「以前は点滴の抗がん薬を受けていた」と聞き取れた場合は、手術不能又は再発乳癌に対するS-1単独療法を考えます。
内分泌療法薬とS-1が併用されている場合
術後薬物療法としての内分泌療法+S-1の可能性があります。
併用薬として、タモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、LH-RHアゴニストなどがある場合は、術後内分泌療法にS-1を追加している可能性を考えます。
ただし、再発・転移乳癌でも内分泌療法歴がある場合があるため、処方箋だけで断定せず、治療目的を確認します。
S-1単独で内服のみの場合
手術不能又は再発乳癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
また、術後S-1併用療法であっても、内分泌療法薬が他院処方・注射薬・長期処方で見えにくい場合があります。
処方日数、内分泌療法薬の有無、手術歴、再発・転移の有無、病院での説明内容をあわせて確認します。
頭頸部癌でS-1が使用される主な場面を見る
再発・転移頭頸部癌
S-1単独療法
頭頸部癌でS-1が処方されている場合、主に再発・転移頭頸部癌に対するS-1単独療法の可能性を考えます。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬で処方されている場合、頭頸部癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
頭頸部癌に対するS-1の用法は、電子添文上はA法です。A法では、体表面積に応じた初回基準量を朝食後・夕食後の1日2回、28日間連日投与し、その後14日間休薬します。
患者から「再発したため飲み薬で治療している」「点滴治療ではなく内服で治療している」「以前にシスプラチンや免疫療法を受けた」と聞き取れた場合は、再発・転移頭頸部癌に対するS-1単独療法を考えます。
併用療法・強力な治療が難しい場合
全身状態や通院負担を考慮したS-1単独療法
再発・転移頭頸部癌の薬物療法では、現在は免疫チェックポイント阻害薬やプラチナ製剤を含む治療が中心になります。
一方で、高齢、PS低下、腎機能低下、併存疾患、通院負担、患者希望などにより、強力な点滴治療が難しい場合、内服治療としてS-1単独療法が選択されることがあります。
薬局でS-1単独処方が出ており、点滴治療が確認できない場合は、患者背景として、全身状態、過去の治療歴、腎機能、通院負担などが関係している可能性があります。
二次治療以降・治療変更後
既治療後のS-1単独療法
頭頸部癌では、過去にプラチナ製剤、セツキシマブ、免疫チェックポイント阻害薬などを使用した後に、治療変更としてS-1が選択されることがあります。
患者から「以前は点滴の抗がん薬を受けていた」「免疫療法をしていた」「治療が変わって飲み薬になった」と聞き取れた場合は、既治療後のS-1単独療法の可能性があります。
この場合、現在のS-1の副作用だけでなく、前治療による末梢神経障害、皮膚障害、口腔粘膜障害、栄養状態の低下なども確認したいポイントになります。
術後補助療法として処方されているように見える場合
処方意図の確認が必要
頭頸部癌に対するS-1は電子添文上の効能・効果に含まれますが、術後補助化学療法として標準的に用いられる薬剤というより、再発・転移例や全身治療の選択肢として考える方が実務上は自然です。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」と聞き取れた場合は、病院での説明内容、治療目的、放射線治療歴、再発の有無を確認します。
処方箋だけでは、再発・転移治療なのか、術後・放射線後の追加治療なのか判断しにくいことがあります。そのため、手術歴、放射線治療歴、再発の有無、点滴治療歴を確認することが重要です。
28日間内服・14日間休薬の場合
頭頸部癌に対するS-1単独療法の可能性があります。
電子添文上、頭頸部癌で使用する投与法はA法であり、28日間内服・14日間休薬のスケジュールが該当します。
確認したい情報としては、再発・転移の有無、手術歴、放射線治療歴、過去の点滴治療歴、免疫チェックポイント阻害薬の使用歴、嚥下状態、口内炎、口腔乾燥、食事量低下、体重減少などがあります。
S-1単独で内服のみの場合
再発・転移頭頸部癌に対するS-1単独療法、または既治療後の治療変更としてのS-1単独療法の可能性があります。
患者から「以前は点滴治療をしていた」「免疫療法を受けていた」「飲み薬に変更になった」と聞き取れた場合は、二次治療以降のS-1単独療法を考えます。
また、点滴治療が難しい背景として、高齢、PS低下、腎機能低下、通院負担、併存疾患などが関係している可能性があります。
術後や放射線治療後に処方されている場合
手術後や放射線治療後にS-1が処方されている場合でも、処方箋だけで術後補助療法と断定しない方が安全です。
再発・転移病変に対する治療、局所再発後の治療、または施設方針による追加治療の可能性があります。
患者から「再発予防で飲んでいる」と聞き取れた場合は、治療目的を病院側へ確認することも検討します。
非小細胞肺癌でS-1が使用される主な場面を見る
切除不能・進行再発非小細胞肺癌
S-1単独療法
非小細胞肺癌でS-1が処方されている場合、S-1単独療法の可能性があります。
薬局でS-1が28日間内服・14日間休薬、21日間内服・14日間休薬、または14日間内服・7日間休薬で処方されている場合、非小細胞肺癌に対するS-1単独療法、またはS-1を含む併用療法の可能性があります。
ただし、現在の切除不能・進行再発非小細胞肺癌では、ドライバー遺伝子変異、PD-L1発現、組織型、全身状態などに応じて、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、プラチナ併用化学療法などが選択されます。
そのため、S-1単独療法が処方されている場合は、標準的な点滴治療が難しい背景、過去の治療歴、年齢、全身状態、腎機能、通院負担などを考えるとよいです。
患者から「以前は点滴治療をしていた」「今は飲み薬で治療している」「体力的に強い治療は難しいと言われた」と聞き取れた場合は、既治療後または点滴治療が難しい背景でのS-1単独療法を考えます。
プラチナ製剤との併用療法
プラチナ製剤+S-1療法
非小細胞肺癌では、S-1がシスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ製剤と併用されることがあります。
薬局でS-1が処方されており、患者から「点滴も一緒に受けている」「プラチナ系の薬を使っている」「3週間または5週間ごとに治療している」と聞き取れた場合は、S-1+プラチナ製剤併用療法の可能性があります。
この場合、S-1の下痢、口内炎、骨髄抑制、食欲不振に加えて、プラチナ製剤による悪心・嘔吐、腎機能障害、骨髄抑制、末梢神経障害、聴覚障害などにも注意します。
扁平上皮癌でのS-1併用療法
カルボプラチン+S-1療法など
非小細胞肺癌の中でも、扁平上皮癌では、カルボプラチン+S-1療法などが選択されることがあります。
患者から「肺の扁平上皮癌と言われた」「カルボプラチンの点滴を受けている」「3週間ごとに点滴がある」と聞き取れた場合は、カルボプラチン+S-1療法の可能性を考えます。
この場合、S-1の副作用だけでなく、カルボプラチンによる骨髄抑制、悪心・嘔吐、血小板減少、倦怠感などを確認したいポイントになります。
既治療後・治療変更後
前治療後のS-1療法
非小細胞肺癌では、過去にプラチナ併用化学療法、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬などを使用した後に、治療変更としてS-1が選択されることがあります。
患者から「前は免疫療法をしていた」「分子標的薬を使っていた」「点滴治療から飲み薬に変わった」と聞き取れた場合は、既治療後のS-1療法の可能性があります。
この場合、現在のS-1による副作用に加えて、前治療による間質性肺炎、皮膚障害、末梢神経障害、倦怠感、食欲不振などが残っていないかも確認します。
術後補助療法として処方されているように見える場合
処方意図の確認が必要
非小細胞肺癌では、現在、病期やドライバー遺伝子変異、PD-L1発現などに応じて、術後補助療法としてプラチナ併用化学療法、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬などが選択されます。
S-1が術後に処方されているように見える場合でも、処方箋だけで標準的な術後補助療法と判断しない方が安全です。
患者から「手術後の再発予防で飲んでいる」と聞き取れた場合は、病期、手術歴、点滴治療歴、病院での説明内容、再発の有無を確認します。
28日間内服・14日間休薬の場合
S-1単独療法、または施設方針によるS-1を含む治療の可能性があります。
電子添文上、非小細胞肺癌ではA法が使用可能であり、A法は28日間内服・14日間休薬です。
確認したい情報としては、再発・進行例か、過去の点滴治療歴、免疫チェックポイント阻害薬の使用歴、分子標的薬の使用歴、肺炎・間質性肺炎の既往、咳、息切れ、発熱、食欲不振などがあります。
21日間内服・14日間休薬の場合
S-1単独療法、またはプラチナ製剤との併用療法の可能性があります。
電子添文上、非小細胞肺癌ではB法も使用可能であり、B法は21日間内服・14日間休薬です。
患者から「点滴も一緒に受けている」「シスプラチンやカルボプラチンを使っている」「5週間ごとの治療と説明された」と聞き取れた場合は、S-1を含む併用療法の可能性を考えます。
14日間内服・7日間休薬の場合
S-1単独療法、またはカルボプラチン+S-1療法などの併用療法の可能性があります。
電子添文上、非小細胞肺癌ではC法も使用可能であり、C法は14日間内服・7日間休薬です。
患者から「3週間ごとに点滴がある」「カルボプラチンを使っている」「肺扁平上皮癌と言われた」と聞き取れた場合は、カルボプラチン+S-1療法などを考えます。
S-1単独で内服のみの場合
切除不能・進行再発非小細胞肺癌に対するS-1単独療法、または既治療後の治療変更としてのS-1療法の可能性があります。
ただし、非小細胞肺癌では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの選択肢も多いため、S-1単独療法が処方されている場合は、ドライバー遺伝子変異の有無、PD-L1発現、前治療歴、全身状態などが背景にある可能性を考えます。
2-4.支持療法からの推測
S-1処方では、支持療法薬の内容や患者さんが受けてきた病院での説明から併用している抗がん剤等を推測し、レジメンを推定できることがあります。
たとえば、NK1受容体拮抗薬や複数の制吐薬、補液の説明がある場合はシスプラチン併用、冷感刺激や末梢神経障害の説明がある場合はオキサリプラチン併用、皮膚障害対策薬が併用されている場合は抗EGFR抗体併用を考えます。
ただし、支持療法のみでレジメンを断定することはできないため、お薬手帳などを確認してください。
| 支持療法・ケア | 支持療法から想定されるレジメン | 関連する抗がん薬 | 想定されるがん種 | 薬局での見方 |
|---|---|---|---|---|
| 5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン | SOX療法、IRIS療法、GCS療法など | オキサリプラチン、イリノテカン、GCS→シスプラチンが低用量のため中等度催吐リスク | 胃癌、大腸癌、胆道癌など | 中等度催吐リスクの点滴併用を示唆。S-1単独より点滴併用レジメンを疑う。 |
| NK1受容体拮抗薬+5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン±オランザピン | SP療法、S-1+シスプラチン併用療法 | シスプラチン | 胃癌、胆道癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌など | 高度催吐リスクの吐き気止め処方はシスプラチン併用の可能性が高い |
| 大量補液、利尿薬、Mg補充、腎機能確認 | SP療法、GCS療法、S-1+CDDP併用 | シスプラチン | 胃癌、胆道癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌など | シスプラチンは腎障害へのケアが重要。患者から「点滴時間が長い」「水分をたくさん入れる」と聞ければシスプラチン併用を疑う |
| ロペラミド、整腸剤、タンニン酸アルブミンなど | S-1単独、SOX療法、IRIS療法、GS療法、GCS療法など | S-1、イリノテカンなど | ほぼ全がん種、 大腸がんでは特にIRIS療法(イリノテカン併用)を意識 | S-1自体でも下痢は重要。イリノテカン併用では下痢の重症化に特に注意。下痢止めの頓用処方があれば、服用基準を確認する |
| 末梢神経障害・冷感刺激への指導 | SOX療法 | オキサリプラチン | 胃がん、大腸がん | 「冷たいものを避ける」「しびれがある」といった説明があればオキサリプラチン併用を疑う |
| デキサメタゾン前投薬、浮腫対策 | DS療法(S-1+ドセタキセル) | ドセタキセル | 胃がん | ドセタキセル併用を示唆。デキサメタゾンは悪心対策だけでなく、浮腫・過敏症対策として使われることがある |
| 皮膚障害対策:保湿剤、ステロイド外用、ミノサイクリンなど | SOX+抗EGFR抗体、IRIS+抗EGFR抗体など | セツキシマブ、パニツムマブ | 大腸癌 | S-1だけでは通常ここまで皮膚障害対策はしないことが多い。抗EGFR抗体併用の大腸癌レジメンを疑う |
| 口腔ケア、含嗽薬、口内炎治療薬 | S-1単独、頭頸部癌でのS-1併用、放射線併用後など | S-1、放射線治療など | 頭頸部癌、胃癌、膵癌など | S-1自体の口内炎対策としても重要。嚥下困難や放射線治療歴があれば頭頸部癌の可能性も考える |
| G-CSF製剤、抗菌薬、発熱時対応説明 | DS療法、GCS療法、強度の高い併用療法など | ドセタキセル、シスプラチン、ゲムシタビンなど | 胃癌、胆道癌、頭頸部癌など | 発熱性好中球減少症リスクを意識している可能性。発熱時の受診基準を確認する |
| 胆管炎・黄疸関連のケア:抗菌薬、解熱薬、胆道ドレナージ歴の確認 | GS療法、GCS療法、S-1単独 | ゲムシタビン、シスプラチン、S-1 | 胆道癌 | 胆道癌では黄疸、胆管炎、発熱の確認が重要。GCS療法・GS療法・S-1単独はいずれも胆道癌で選択肢となる |
| 内分泌療法薬との併用確認 | 術後内分泌療法+S-1 | S-1+タモキシフェン、AIなど | HR陽性HER2陰性再発高リスク乳癌の術後薬物療法 | 乳癌術後補助療法の可能性。進行・再発乳癌ではなく、再発予防目的のS-1である点が重要。 |
| 食欲不振・体重減少への栄養指導、膵酵素薬、胃切除後ケア | S-1単独、術後補助療法 | S-1 | 胃癌、膵癌など | 胃切除後、膵切除後では食事摂取量や下痢・体重減少が服薬継続に影響する。 |
~3.投薬後のフォローについて~
服薬指導終了後は副作用の発現状況(好発時期)から電話フォローを行う段取りを考えましょう。以下にS-1での副作用の発現時期の目安表がありますのでご参照ください。ただし、あくまで副作用報告を元に作成したものであり、患者個々で出現する副作用はことなりますので参考程度にしてください。
☆副作用評価についてはS-1によるものか、併用抗がん剤によるものか、腫瘍そのものによる影響か、前治療の影響か、まったく別要因なのか、を想定する必要があります。副作用発現の時期(ex.「飲み始めてから3日後に出た」、「飲む前から症状はあったが、S-1を飲み始めて悪化した」など)も考慮して評価をしましょう。

3-1. 投薬後フォローで確認したいこと
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 服薬状況 | 飲み忘れ、自己中断、服用日数、休薬期間の理解 |
| 副作用 | 下痢、口内炎、悪心・嘔吐、食欲不振、発熱、皮疹、咳・息切れなど |
| 食事・水分摂取 | 食事量低下、水分摂取不良、体重減少の有無 |
| 生活への影響 | 倦怠感、仕事や家事への影響、ADL低下 |
| 支持療法薬 | 制吐薬、止瀉薬、整腸薬、含嗽薬、外用薬などの使用状況 |
| 病院への共有 | 受診勧奨、疑義照会、トレーシングレポートの必要性 |
特に、S-1初回導入時、高齢者、腎機能低下例、食欲不振や下痢がある患者、服薬スケジュールの理解に不安がある患者では、電話フォローを優先して検討します。
3-2. 電話フォローのタイミング例
S-1の投与スケジュールは、がん種やレジメンによって異なります。
そのため、電話フォローの時期は固定せず、投与開始日、休薬開始日、次回受診日を確認したうえで設定します。
| タイミング | 確認したいこと |
|---|---|
| 内服開始後3〜7日頃 | 服薬状況、飲み忘れ、悪心、食欲不振、休薬日の理解 |
| 内服開始後7〜14日頃 | 下痢、口内炎、倦怠感、発熱、食事・水分摂取 |
| 休薬前後 | 休薬開始日の理解、副作用の持続や悪化 |
| 次回受診前 | 医師へ共有すべき副作用、支持療法提案の必要性 |
| 次回処方時 | 前コースの副作用、休薬・減量・支持療法変更の有無 |
電話フォローの目的は、すべての副作用を網羅的に確認することではなく、服薬継続に影響する症状や、病院へ連絡すべき症状を早期に把握することです。
3-3. 電話で確認する項目
電話フォローでは、以下のように具体的に確認します。
| 確認項目 | 聞き取り例 |
|---|---|
| 服薬状況 | 予定通り飲めていますか。 飲み忘れや中止した日はありませんか。 |
| 休薬期間の理解 | いつまで飲んで、いつから休む予定ですか。 |
| 下痢 | 普段より便の回数は増えていますか。 水のような便や血便はありませんか。 |
| 口内炎 | 口の痛みで食事や水分が取りにくくなっていませんか。 |
| 悪心・嘔吐 | 吐き気や嘔吐はありますか。 吐き気止めは使えていますか。 |
| 食欲不振 | 食事量は普段の何割くらいですか。 体重は減っていませんか。 |
| 発熱 | 体温は測っていますか。 38℃以上の発熱や寒気はありませんか。 |
| 咳・息切れ | 咳、息切れ、息苦しさ、発熱はありませんか。 |
| 皮疹 | 発疹、かゆみ、皮むけ、口唇や目の粘膜症状はありませんか。 |
| 支持療法薬 | 下痢止め、吐き気止め、うがい薬などは使えていますか。 |
3-4. トレーシングレポートにつなげる場面
電話フォローで副作用や服薬状況を確認した結果、病院へ共有した方がよい情報があれば、トレーシングレポートの作成を検討します。
| 場面 | トレーシングレポートで共有したい内容 |
|---|---|
| 飲み忘れ・服薬スケジュール誤認 | 飲み忘れ日数、休薬期間の誤認、薬局での指導内容 |
| 下痢がある | 発現時期、回数、水様便・血便・発熱・水分摂取の有無 |
| 口内炎がある | 痛み、食事・水分摂取への影響、含嗽薬や処方薬の使用状況 |
| 悪心・食欲不振がある | 食事量、体重減少、制吐薬使用状況、脱水リスク |
| 発熱がある | 体温、悪寒、感染症状、病院連絡の有無 |
| 支持療法が不足している | 制吐薬、止瀉薬、口内炎対策薬、外用薬などの提案 |
| 副作用で自己中断している | 中断日、理由、症状、病院への連絡状況 |
トレーシングレポートでは、単に「下痢あり」「食欲不振あり」と記載するだけでなく、発現時期、程度、生活への影響、薬局での対応、病院へ確認したい点を整理して記載します。
3-5. 支持療法を提案する場面
S-1内服中に副作用が出現している場合、症状の程度や患者の困りごとに応じて、支持療法の提案を検討します。
| 症状 | 支持療法提案の例 |
|---|---|
| 悪心・嘔吐 | 制吐薬の使用状況確認、追加・変更の相談 |
| 下痢 | 整腸薬、止瀉薬の使用状況確認、服用基準の整理 |
| 口内炎 | 含嗽薬、口腔ケア、疼痛対策の相談 |
| 食欲不振 | 食事量・水分摂取の確認、栄養補助の相談 |
| 皮疹・手足症状 | 保湿剤、外用薬、皮膚症状の評価 |
| 倦怠感 | 貧血、感染、脱水、食事量低下などの背景確認 |
ただし、支持療法の提案は患者の状態や施設方針によって異なります。症状が強い場合や、発熱、水分摂取不良、強い下痢、呼吸器症状などを伴う場合は、薬局内で経過観察せず、医療機関への連絡を優先します。
<注意事項>
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